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菅原整形外科院長 菅原 忍 |
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手や足、市、腰など、私たちの体にはいたるところに関節があります。関節を曲げたり伸ばしたりすることで、私たちはさまざまな姿勢をとることができ、実に複雑な動きをすることができます。この関節をつくっている骨の表面は、弾力性に富んだ軟骨という組織に覆われています。軟骨は、骨と骨とがこすれ合うときに生じる摩擦を小さくし、骨にかかる衝撃を和らげるクッションの役割を果たします。
この軟骨がなんらかの理由ですりへってしまうと、関節の曲げ伸ばしの際に骨と骨とがじかにこすれ合うことになり、痛みが生じます。これを「変形性関節症」といいます。変形性関節症の起こる箇所はさまざまで、例えば、股関節に起これば変形性股関節症、あごの関節に起これば変形性顎関節症といいます。なかでも変形性関節症が起こる頻度が一高いのは、ひざです。近年、ひざの痛みに悩まされる人がふえてきていますが、その多くは変形性膝関節症によるものです。変形性膝関節症の典型的な症状は、歩くときや立ち上がるときなどひざの関節を動かすときに痛みが生じるというもので、痛みがひどいと日常生活にも差し障ります。また、ひざに水がたまることもあります。悩んでいる患者さんがたいへん多いにもかかわらず、これまで変形性関節症に対しては決定的な治療法がありませんでした。痛み止めを用いて症状を和らげるといった対症療法が中心で、根本的な同復は望めなかったのです。
ところが、グルコサミンの登場により、そうした状況に大きな変化が起こっています。すリヘった関節軟骨を同復させ、元の健康な状態に戻そうとする治療が試みられるようになってきたのです。
私がグルコサミンのことを知つたのは、3年前のこと。当時私が勤務していた順天堂大学で、グルコサミンを用いた臨床試験を行ったのがきっかけでした。実は私自身は、医薬品ではないグルコサミンで変形性関節症がよくなるとは思えず、その効果については懐疑的でした。しかし、実際に試験を行ってみると、症状が改善した患者さんが相次ぎ、8週間の試験の終了後もグルコサミンの投与を希望する人が何人もいたのです。それほど効くものならと、私も考えを改め、以後、グルコサミンを治療の一環に取り入れることにしました。現在、私の医院ではひざ、腰、足首、股関節などに起こる変形性関節症の治療にグルコサミンを用いています。この3年間で、約150人の息者さんにグルコサミンを飲んでもらいましたが、確かにすばらしい効果を発揮しています。 |
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変形性関節症では、クッションの役割を米たす軟骨がすリヘって、骨と骨とが直接こすれてしまうため、その部分に炎症が起こります。この炎症が痛みの原因です。
グルコサミンには炎症をおさえる効果があることが、海外の研究などで報告されていますが、実際に多くの患者さんから、「痛みが軽くなった」とか「なくなった」という声が聞かれます。
変形性関節症の患者さんにグルコサミンを飲み続けてもらうと、だいたい2〜3カ月で痛みが軽減し、関節の可動範囲が広がる、つまり動かしやすくなるという改善効果が見られるようです。 |
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また、変形性膝関節症の患者さんでは、グルコサミンを飲み続けたところ、ひざに水がたまらくなったという人がよくいます。これは、ひざ関節を包んでいる関節包という袋状の組織の内側にある滑膜の炎症が治まったためです。滑膜は、関節を滑らかに動かすための潤滑油となる関節液を分泌しています。ところが、変形性膝関節症でこの滑膜に炎症が起こると、必要以上の関節液が分泌されるようになり、それがたまってしまうのです。
グルコサミンの働きによって滑膜の炎症がおさまると、関節液の分泌が正常に戻るため、ひざに水がたまらなくなるわけです。このようにグルコサミンは、ひざ痛をはじめとする変形性関節症にたいへん有効な働きをもつサプリメン卜ですが、グルコサミンを飲むだけですべての症状が改善するとは限りません。例えば、痛みが非常に強いような場合には痛み止めの注射を打つ必要も出てきます。また、ひざ痛の場合は、太ももの筋肉を鍛えるなどのリハビリテーションもたいへん重要です。
こうした各種の治療とグルコサミンを組み合わせることで、より高い治療効果が望めると思います。
最後に、グルコサミンの取り方について述べておきましょう。
一日の摂取量の日安は、1500mgです。一日2回ないし3回に分けて、食後に取るのがいいでしょう。
グルコサミンはもともと私たちの体内に含まれている物質ですし、市販のサプリメントもカニやエビなど自然の原料から作られています。欧米を中心に長期にわたる投与も行われていますが、これといった副作用は報告されていません。安全性が高いというのは、グルコサミンのすぐれている点の一つです。 |
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マキノ出版 「ゆほびか」 2001年10月号より抜粋 |
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